※以下は2012年12月27日に急遽こさえた変電社日記にて書かれた宣言文再掲
Q:「変電社」とは?
A:必要に迫られ本日を以て急遽旗上げした「結社」です。
「変電社」は会社組織ではなく結社です。なお結社のスタンスは「電子書籍読者」です。ビジネス目線も学者目線もありません。かたじけなく思います。ざっくり言うと「変な電子書籍っていろいろあるから読んでみようや」結社です。
Q:何をするのか?
A:一部で流通している「変な電子書籍」を紹介したい。
電子書籍に関しては、デバイスやサービスやフォーマットは活発に議論展開されますが、そのサービスで配信されそのデバイスで読む、当の電子書籍=コンテンツに関する議論は少ない。ということを認識している方も結構いるんじゃないかと思います。一般に「本の虫」と称し称される「本好き」の皆さんが「本屋」と「装丁」の議論ばかりしているかと言われれば、一部しているかと思いますが一般的実態はそうではありません。
といったわけで僕が何をしたいかというと、
この秋にリリースされたGooglePlayブックスに慶応義塾図書館のコンテンツが混ざっていた結果、ごく一部の人々の間で瞬間最大風速的に盛り上がった「電子古書」というコンセプトがあります。これは「マガジン航」編集長/批評家である仲俣暁生氏がFacebook上で提唱されたもので、それは商業流通に乗った既刊本新刊本等の「電子書籍」ではなく、図書館の書庫に眠り続けていたデータアーカイブ群である「電子書籍」です。
その考え方にノックアウトされた僕は、古本好き図書館書庫好き野郎としてその慶応義塾図書館コンテンツを漁らねばならぬと思い至った次第です。また国立国会図書館所蔵で著作権期間が過ぎたかまたは権利処理されたコンテンツが「近代デジタルライブラリー」でWeb公開されているのですが、そちらも漁らねばならんと。また既に電子書籍ストアで売られてるコンテンツももちろん扱う予定ですが、主に紙で手に入れる場合は古本屋もしくはAmazonマーケットプレイスを介さないといけないような絶版本等を中心に扱ってみようと。屑値で売られていようがです。
その漁った中で、個人的な偏った趣味とそう広くはない知見で「これぞ!」と思ったものをピックアップして紹介したいと考えるに至りました。
Q:何故こんなことをするのか?
A:単に面白そうだからです。
世界のあらゆる情報が適正な質問(検索キーワード)が用意できさえすれば、全てが検索ヒットされて見出され消費できているかのようにも見える現在ですが、今後このブログで主に紹介するであろうコンテンツ群は全てスキャニングデータとしての「古書」の山です。
その古書の山は2012-3年にかけての現在においてはまともなOCRはかかりません。旧字やノイズのせいでもありますが、つまりまだ全文検索はできません。結果、書誌情報等のメタデータがキーワードとして検索されるのが精一杯な現状なので、本の「中身」の情報は「誰か」が読まないといけない。
では僕が読もうじゃないかということになります。面白そうだから読みたいというのもあります。また妙な言い草になりますが、本は読まれて初めて「本」になると思えば、読者の空席は早急に埋めてやるべきであると。
事実海底の泥を中に沈んでいるが再読されることを待っている本も多いでしょう。 それをサルベージ=海底から引き揚げたら、難破船の中に財宝が眠っているかもわからない!
リパッケージしてリバイバル展開も妄想
僕はあくまで「読者」としてその古いコンテンツを読みたいと思っておる書痴ではありますが、面白いのだけど非常に読み辛いブツであるので、改めてリーダビリティを追求してリパッケージして展開するのもありであろうと思ってます。もちろん権利切れコンテンツの展開ではありますが、面白い本であればやはり復古して通常の流通に乗せるべきだろうと認識しています。
そのためにはまず文脈形成が必要であると思い「変電社」を旗揚げしたわけです。
以下僕の考え方のスタンスを説明する上でのサンプルです。
かつて「今改めて聴いてみるとなんだよイケてるじゃん」系の古いJazzやR&Bの類を「レア・グルーブ」なんて括りレコードをかき集めていたDJ・コレクターがおりました。
過去の音楽を現在の価値観で捉え直す際、当時には評価されなかった楽曲の価値が新たに見出される場合がある。その楽曲は、現在の音楽(ダンスミュージック)においては、音楽面において珍しいだけでなく音源の流通という側面においても非常に珍しい(希少価値がある)存在である。このように、現在の新たな価値観で「踊れる、のる事ができる」ものとして発掘され、再評価を受けた過去の楽曲の事を、「珍しいグルーヴ(を持つ音楽・楽曲)」として、レア・グルーヴと呼ぶ。(Wikipedia「レア・グルーブ」)
ものすごいざっくりと上記「レア・グルーブ」ジャンルが成立していたであろう条件を考えてみると、中古レコードという形で分厚く積み重なったポップミュージックの地層(アーカイブス)とクラブやカセットテープ(懐かしい!)で仲間に提供・共有できる場所(リアルタイム・シェア)と「面白い音を探したい!」というパッションであったろうと思います。
今コンテンツとしての「電子書籍」も実はその地平にいつのまにやら立っているのではないか?と僕なんか勝手に妄想してしまったわけです。近代デジタルライブラリーで閲覧できるコンテンツ数は現在32万冊ある。仮にこのうち1%僕が個人的に読むとして3200冊。1日1冊処理しても8年以上かかると考えるとこの道は本当に進んでいいものかと俄に迷い始めますが僕にはパッションだけはあるようなので困ってます。
まず僕自身がいろいろと人体実験として、まずはアーカイブスをいろいろ漁りdiggin’して、リアルタイムでここや各種ソーシャルメディアでシェアして参りたい所存です。
以下をルールしばりとします。
- まず扱うコンテンツはデジタルで
- 「変」がついてますがふざけるという意味ではなく
- 従来の「電子書籍」概念からは「変わっている」というニュアンスで
- 「新刊電書」(妙な言い回しになってますが)でも文脈が繋がっていくものはどんどん紹介
- もちろん参考文献で紙の本だって紹介
- もっとも継続こそ「力」だと認識しているので、続けたい
- あまりネタがないもしくはネタを消費できてない場合は変電社通信
- ゆるくでご勘弁ください!
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